2008.03.11
東京都議会予算特別委員会速記録第二号〔速報版〕 【ページ3】

〇髙橋かずみ委員
  まちに活気とにぎわいを取り戻すためには、商店街と地域の一体となった取り組みが大切であると考えます。
 都は、平成十七年度より、地域連携型モデル商店街事業を実施し、これまでに、江戸町風の景観整備を行った浅草の伝法院かいわいや、まちの安心・安全に取り組む世田谷区祖師谷のウルトラマン商店街など都内九つの地域が選定され、各地域でさまざまな取り組みが実施されています。
 こうした全国でもモデルケースとなる取り組みは、都として地域を選定した後も節目、節目で所期の目的が達成されるよう商店街の活動の後押しを続けるべきと考えますが、所見を伺います。

〇佐藤産業労働局長
  地域連携型モデル商店街事業に選定をされた商店街は、地域に活気とにぎわいをもたらす取り組みを着実に実施をし、他の商店街のモデルケースとなるような成果を上げることが期待されております。  こうした成果を上げるためには、商店街が事業着手した後も数年にわたり継続的に取り組むことが必要となります。このため、都は来年度、地域連携型モデル商店街フォローアップ事業の創設によりまして、中小企業診断協会東京支部との連携のもと、事業の実施状況に応じて中小企業診断士を派遣するなど、モデル商店街をきめ細かく支援してまいります。

〇髙橋かずみ委員
  次に、都市農業について伺います。
 我が党の都市農政を考える議員連盟は、都市の貴重な緑地空間である農地を保全するように、議会でさまざまな提案をしてまいりました。都市農地の保全には国の制度改善が必要不可欠でありますが、農業が営まれてこそ農地がさまざまな機能を発揮し、維持されていくのであります。現在では、農家が大都市の中で農業生産を続けていくためには、近隣の人々へのさまざまな配慮が必要になりました。
 こうした中、若い農業者は、代々続いてきた農業を都民のためにも次代に引き継いでいこうと考えております。昨年十一月の東京都農業祭でも、東京農業を多くの方に知ってもらおうと、表参道で野菜の宝船パレードを行っていました。ぜひ真摯な農業者に安心して農業に従事させてあげたいと思います。  そこで、大都市東京における農業の今後の進むべき方向について、知事の考えを伺います。

〇石原知事
  都市化の影響による農地の減少や農産物の価格低迷、農業の担い手の減少や高齢化など、東京の農業を取り巻く環境は極めて厳しくなってきております。また、近年、食の安全に対する都民の不安も高まっております。
 しかし一方、日本の農業そのものはこのごろ世界の中で非常にブランド化してきまして、そういう評判をもってこれから売れ行きというものが期待されるわけでありますけれども、こうした中で、またさらに東京ならではのブランドがたくさんあるわけです。コマツナや、ブドウの「高尾」、あるいは稲城のナシなど、こういった全国に誇れる価値の高い農産物を生産するなど、東京の農業者というのは日々努力を重ねておられます。
 また、農業生産という一次産業の枠にとどまらず、加工品の生産から直売所や観光農園の開設など、多角的な経営への取り組みも進展しております。  農業が活性化し、また都民から見ても魅力のある農業となることは、環境の保全や防災などさまざまな機能を持つ貴重な都市農地の保全にもつながってまいります。
 都としては、東京の農業が、大消費地に間近という有利性を生かしまして、都民のニーズを戦略的に取り入れた農業経営を展開することにより、活力のある産業として再生するように、今後とも都市農業の振興に努めてまいります。

〇髙橋かずみ委員
  次に、農産物の地産地消について伺います。
 私の地元の練馬区では、農業者が農産物の地産地消に熱心に取り組んでおり、現在、百カ所以上の直売所で地元産の野菜や花などの販売を行っており、住民の方々に大変喜ばれております。
 地産地消を進めることは、輸送時のエネルギー消費を減らし、地球温暖化防止につながり、大変重要であると考えております。
 また、都市に新しい緑を創出するという施策を展開する上でも、野菜や花だけでなく、街路樹や屋上、壁面を緑化するための植物についても地産地消を進めていく必要があると考えております。  都では、緑の地産地消をどのように進めるのか、今後の取り組みを伺います。

〇佐藤産業労働局長
  ご指摘のとおり、都内で生産した緑化植物で東京の緑化を進めることは、地球温暖化防止の観点からも重要であると考えております。
 このため、都は来年度以降、苗木生産供給事業における生産量をふやしまして、都の公共事業等に積極的に供給をしてまいります。
 また、都内生産者が育成をしております約一千種類の緑化植物を、その情報をデータベース化するとともに公共団体等に情報提供いたしまして、都内産の緑化植物の需要拡大を進めてまいります。
 さらに、都市の狭小なスペースにも適した緑化植物や、簡単に屋上、壁面緑化ができる植物の開発、生産振興を図ってまいります。
 今後とも、農業振興と東京の縁の創出という両面から縁の地産地消を進めてまいります。

〇髙橋かずみ委員
  最後に、新銀行東京の質疑に移りますが、本件については、引き続き、川井副委員長より、関連で質疑を行います。
 私からの総括質疑は、以上で終了させていただきます。ありがとうございました。(拍手)

〇三宅委員長
  計測をとめてください。
 この際、議事の都合により、おおむね五分間休憩いたします。
   午後三時十一分休憩

   午後三時十七分開議

〇三宅委員長
  休憩前に引き続き委員会を開きます。
 ただいま、川井しげお副委員長より関連質疑の申し出がありました。
 本件は、予算特別委員会実施要領第七の規定に基づき、質疑委員の持ち時間の範囲内で認めることになっております。

 川井しげお副委員長の関連質疑を認めます。
 なお、川井副委員長に申し上げます。発言は、髙橋かずみ理事の質疑の持ち時間の範囲内となっておりますので、あらかじめご了承願います。
 計測を始めてください。

〇川井委員
  それでは、髙橋かずみ理事に引き続き、関連質疑を行わさせていただきます。
 新銀行東京についてお伺いをするわけでございますが、先日、本会議において知事は、中小企業支援の重要性を切々と答弁されました。しかし、厳しい経営状況に陥った新銀行東京を再建して本当に有効な銀行になるのか、今問われているわけであります。
 新銀行東京をめぐっては、さまざまな報道がなされておりますが、ここは冷静になって、中小企業や都民にとって、この問題をどう解決するのが最善なのか、本質に立ち返り、客観的な事実を共有した上で、じっくり議論したいと思います。  知事は、過去に、本会議あるいは記者会見において追加出資はしないとしながら、今回、四百億円の追加出資をすると表明されました。
 知事、知事は知事であると同時に物書きであり、文章あるいは言葉を大事にしてこられた方だと思います。一方、人間石原慎太郎を見たとき、大変負けず嫌いであるし、プライドの高い人だと思います。その知事があえて発言を覆すのです。ご自身も、まことに残念無念、歯ぎしりをする思いで、ざんきにたえないとおっしゃっているように、苦しいだろうと思います。
 そんな知事が、みずからのプライドを捨てて、傷つきながら、苦渋の選択をせざるを得なかった。これはやはり、新銀行東京に関係している多くの都民、そして中小零細企業を助けるための決断であるとともに、金融不安を起こしてはいけないというあらわれだと思います。苦渋の決断をせざるを得なかった知事の思いをお伺いいたします。

〇石原知事
  新銀行東京が、設立の志に反しましてこのような経営状態に陥り、追加出資が必要な事態に至ったことはまことに残念でありまして、ざんきにたえません。四百億円の重みは十分わきまえておりますが、一方、現に一万三千もの中小企業に銀行は支援しているわけで、これをつぶすと、広範囲に甚大な影響が及ぶのも自明であります。
 さまざまなご意見があるのは承知の上で、日々、必死に努力をしている中小企業への影響や都民への負担を考え、今回、追加出資をお願いいたした次第であります。
 本日から始まる予算審議では、経営悪化の原因、そして他の選択肢との比較などを踏まえて、この方法しかないということをご理解いただきたいと考えております。中小企業や都民への影響などを複合的に勘案しながらのご議論をぜひお願いしたいと思います。

〇川井委員
  さて、日本の金融システムは、この半世紀の間、さま変わりをしてまいりました。高度経済成長を支えてきた護送船団方式から、自己責任の時代へと大きく変化したのであります。そのような中で、バブル期になされた不動産担保融資により生じた巨額の不良債権を背景として、国内金融機関は、信用金庫、信用組合などの中小金融機関のみならず、大手銀行までが破綻や合併を余儀なくされたのであります。
 そうした状況の中で、新銀行東京が設立されたわけでありますが、改めて、新銀行東京を構想し、設立した経緯と意義について知事にお伺いをいたします。

〇石原知事
  東京と日本を支える中小企業が、ほんの数年前までは既存の金融機関の貸し渋りや貸しはがしのために苦境に陥っていたことはご承知と思います。
 ゆえにまた、就任しまして、これは対象とする企業はグレードがいささか違うでしょうけれども、あくまでも中小企業対策として、日本にはなかった社債担保証券あるいはローン担保証券を講じまして、これは一兆円ほどのマーケットになりましたし、それで再生して、既に七十社近い会社が上場までしておられます。
 私の地元の大田区というのは、これは中小企業の一種のメッカでありますが、そこの経営者や経済人などの話を聞きまして、これはとにかく何かしないと東京の中小企業が死んでしまうと、当時思いましたので、困難な道であるという意見もございましたが、ここで変えなければならぬという強い思いから新銀行の設立を決断し、平成十六年第一回定例会で大多数の皆様の賛成をいただき、新銀行東京は設立の運びになりました。
 バブル崩壊から今日に至る我が国の経済金融情勢を振り返っても、高い事業意欲がありながら資金繰りに窮している中小企業を支援することは極めて重要でありまして、それを目指した新銀行の志は、私はその正しさは、中小企業の方々だけではなくて、都民にも十分ご理解いただけると思っております。

〇川井委員
  新銀行東京は、こうした国内金融機関の状況を背景として収縮した中小企業の金融の空白を埋め、資金繰りに苦しむ中小企業に資金を行き渡らせ、疲弊した東京の地域経済を活性化する使命を担ってスタートしたわけであります。  新銀行の構想が発表されたのは平成十五年五月であり、所管は出納長室でありました。当時私は、財政委員会委員長として、さまざまな角度からなされた質問に耳を傾け、その後は理事としてみずから疑問点をただしていました。あのとき新銀行東京の構想を発表したインパクトは、相当大きなものであったと思います。
 しかるに、開業後の新銀行東京の経営実績を見ますと、今年度の中間決算における累積欠損額は九百三十六億円に達するなど、危機的な状況にあります。新銀行東京の設立理念がすぐれたものであっても、それを実践に結びつけるアプローチは効果的に機能していたのでしょうか。
 こうした疑問に答えるものとして、昨日、新銀行東京から調査報告書が提出されました。旧経営陣が経営に当たった開業二年間の経営状況に関し、経営不振を招いた原因究明を行ったものでありますが、これをお読みになった知事のご感想をお聞かせ願いたいと思います。

〇石原知事
  この報告書が至るまでにいろいろ断片的な仄聞はしておりました。ゆえにも、この時点になって、とにかく銀行の当事者に弁護士を含めたメンバーによりまして、延べ八カ月以上にわたった調査をお願いして、その結果を見ましたら、経営不振を招いた原因がるる鮮明になったわけでございます。
 貸し先のデフォルトの発生を、それはそれでいいというような旧経営陣の、ちょっと常識から脱した営業実態が明らかになったわけですけれども、中でも、これは仄聞しておりましたが、実際にあったようですけれども、六カ月先のデフォルトならばどんどん貸せということで、貸し先の口数を数としてふやした職員には、融資実行実績に応じた、最大年間二百万円もの成果手当が支給されていたと聞きますけれども、その他、途中の経過報告を要請しても、事実の隠ぺいや不適切な報告などがありまして、経営者の姿勢としては非常に問題があったということがまずはっきりなったと思います。  現経営陣が旧経営陣に対して、究明とどういう責任を追及するか考えておると思いますが、今後の推移を注視していきたいと思っております。

〇川井委員
  調査報告書によれば、デフォルトに基づく損害については、経営判断の責任によるところが大きいと考えると指摘されており、損害の額をどう評価するか、また、これを経営責任との因果関係とどのように結びつけるかについては、さらに専門家の意見を踏まえ、十分に検討する必要があるとされています。
 今後、責任追及が、法的なもの、刑事責任の追及をも含むことになれば、司法の場で判断されるべき問題となります。十分な調査権を持たない第三者が、そうした状況のもとで議論をしてどうこうする性格のものではなく、冷静にその結果を待つことが都や我々議会側としての立場ではないかと思うわけであります。
 今一番必要なことは、東京都民にとって一番実害のない方法を選び、結果として、新銀行東京に関係している預金者や融資を受けている一万三千社もの多くの中小企業、そしてそれにかかわる従業員やその家族を守ることではないでしょうか。
 かつて私たちの会派は、信金中央金庫の東京版のような機関にしては、あるいは、千店にも上る信用金庫の支店の窓口を利用してはなど、いろいろ意見具申をしてきましたけれども、当時の経営者には聞き入れられず、裏切られ、悔しい思いもありますが、今それを並べても解決にはならないわけです。我々が議会人として行政との両輪の一方の役割を果たしていく責任を貫くことが大事ではないでしょうか。
 きょうの新聞何紙かには、平成十六年第一回定例会で新銀行東京の設立に賛成した会派の幹事長が、設立そのものが暴走だといっておられるが、議会が賛成していなければ設立はできなかったはずであります。  また、経営者に対する任命責任をおっしゃる方がおりますが、こうした主張は結果論であり、だれも経営の裁量権を超える非常識な経営を行うとは考えていなかったと思います。
 確かに東京都には、発案者としての責任、都民の税金をもって株主になったことから来る監視責任がありますが、それらの責任については、知事自身ももろもろの責任として認めており、その責任を全うする方法として、今とるべき責任は、新銀行東京を是が非でも立て直し、都民のお役に立つ銀行にすることが私の最大の責任といっておられますし、私もそのとおりだと思うわけであります。
 再度質問になりますが、知事、あなたの責任を全うする方法をお聞かせ願いたいと思います。

〇石原知事
  新銀行東京が結果としてこのような経営状態に陥り、追加出資が必要な事態に立ち入ったことはまことに残念でありまして、提案者として今、私のとるべき道は、いろいろご意見もあるでしょうけれども、何よりも、新銀行についての最悪の事態を回避して、都民の負担をできるだけ少なくするとともに、設立の理念を取り戻して都民のお役に立つ銀行に再生させることだと思っております。
 仮に清算や破綻処理となれば、現在懸命に頑張っている一万三千もの中小企業の経営者にも大きな影響を与えることは必至でありまして、これによって事業継続が困難になる企業が続出すれば、そこで働く従業員とその家族、取引先への深刻な影響も連鎖するばかりか、膨大な負担をさらに都民全体にお願いすることにもなりかねないわけであります。
 現況の日本の金融状況、経済状況を見ますと、やはり健全な借り手を破綻させて、整理回収機構か、政府もですが、預けることで進んでいいものか。ミドルリスク、ミドルリターンとしての市場がどんどん縮小していまして、サブプライムの問題も構えて金融引き締めの時期に、こうした弱い、しかも極めて可能性のある人たちを助けなくてはならないんじゃないかと思います。
 現に、政府も融資を拡大しておりまして、いわゆるマル経の額を五百万から一千万、さらに二千万に拡大するつもりのようですけれども、こういった事態の中、この銀行が再生できれば、私は日本の陰の経済の産業の推進力であります中小企業の方々に自信を持って仕事を続けていただくことができるんじゃないかと確信しております。

〇川井委員
  先日の本会議では、再建に向けて現在残されている選択肢として、追加出資、事業清算、預金保険法に基づく破綻処理の三つに絞られたとの答弁がありました。  しかし、初めからこの三つの選択肢に限定されていたわけではなく、追加出資を仰がずに再建するという方法もあるわけでしょう。選択肢として、この三つ以外にも他の金融機関との資本提携や事業譲渡など、方策、あり得ると思います。新銀行東京は、そうした他の方策に取り組んだのか、また、その結果がどのようになっていたのか伺います。

〇佐藤産業労働局長
  新銀行東京は、昨年夏以降、新経営陣のもとで、新中期経営計画の内容を上回る経営改善に取り組んでおりますが、その一方で、再生に向けたさまざまな方策を検討してまいりました。
 具体的には、まず都の出資を前提とせずに、民間金融機関等との統合や資本提携を念頭にいたしまして、国内銀行五行、外国銀行を含む外資系六社との交渉を行ってまいりました。
 また、民間資本と東京都との共同出資についても調整を行いましたが、現段階では調うまでに至っていないという現状でございます。

〇川井委員
  いろいろな方策を講じたが、いずれも不調で、最終的にはこの三つの選択肢に絞られたということだと思います。
 先日の本会議で、知事は、追加出資について、選択肢はこれしかないということを重ねて強調されていましたが、三つの選択肢、つまり追加出資、事業清算、預金保険法に基づく破綻処理が、それぞれどういう考え方のものなのか、また、どの程度のコストがかかるものなのか、借り手である中小企業に対してどのような影響があるのかを示していただきたいと思います。

〇佐藤産業労働局長
  まず追加出資でありますが、経営再建の手段として新銀行東京の資本を手厚くすることによりまして、既存顧客を初めとする中小企業に対する継続支援を行うことを可能とするスキームであります。その所要額は、今回ご提案を申し上げました四百億円でございます。
 また、事業清算とは、金融庁の認可を受けまして銀行がみずから廃業するものであります。そのためには、前提として協力銀行による預金者と健全な融資先の保護を前提に段階的に事業を縮小いたしまして、清算会社に移るということが必要になります。
 新銀行東京の現在の預金残高は約四千億円であり、これに対する資産的には十分ありますが、仮にいっときに払い戻しが請求された場合、直ちに現金化できる有価証券などの資産だけでは、その場合不足が生じる。このため、約一千億円の貸付金という形で新銀行東京を支援することが、設立主体であります東京都の責任であるというふうに考えます。
 その後に、融資返済などによりまして、貸付金は徐々に返済されるということになりますが、時期や最終的な金額は確定していないということになります。融資継続が行われないという形になりますので、そのことによりまして既存の融資先の経営悪化が発生するということ、また、清算ということを公表しますことによりまして、融資先にモラルハザードが起きるというような可能性もあり、融資返済の滞りから多額の損失が発生するということが予想されます。
 損失額につきましては、これは確実な試算方法というものはございませんが、清算をする場合、現実的には清算のための協力銀行へ債権を引き取るようなお願いをすることも考えねばならない事態も当然あると思いますが、過去の新銀行と同程度の資産規模を持つ破綻した金融機関の例を見ますと、最終的に五割以上の資産の回収が見込めずに、これを新銀行東京の例に当てはめますと、想定される損失の額は一千億円に及ぶものというふうに推計されます。
 また、この場合、既存融資先への継続支援ができなくなることによる中小企業への深刻な影響が考えられますし、さらに現実には、清算のための協力銀行が得られておりません。こうしたことから、実際にこの清算という手法をとることは現実的でないというふうに考えております。
 次に、預金保険法の破綻処理についてですが、債務超過または預金払い戻し停止のおそれがある金融機関に対して行われる措置でありまして、現在の新銀行東京には適用はされませんが、一般的な方法として、金融整理管財人の管理のもと、救済金融機関との合併や事業承継が行われるという形になります。
 その影響といたしましては、一千万円以下の預金の元本、利子等は保護されるものの、これを超える部分につきましては、銀行の財務状況に応じてカットされる、いわゆるペイオフが発動されることであります。一月末現在、一千万円を超える部分の預金は、法人・個人合わせまして九千六百十件、四百七十七億円に上り、個人顧客だけでも九千五百二十三人、三百十五億円に上ります。
 また、新銀行東京の顧客は無担保融資が中心であることや赤字、債務超過先が多いことから、整理回収機構に移管される可能性は極めて高くなるというふうに想定しております。中小企業等の融資先にとりましては、貸出債権が整理回収機構へ移管となった場合、社会的な信用が失われることや新たな融資が受けられなくなることから、事業継続が困難になるというふうに考えております。
 法的には都の負担は生じませんが、我が国で初のペイオフの実施に伴う影響ははかり知れず、国民経済上多大な損失が発生することには疑いがないと思っております。

〇川井委員
  三つの選択肢の内容について詳しく説明をいただきました。
 それでは、この三つを比較考量して、追加出資がすぐれていると判断されたのはどのような理由なのかお伺いします。

〇佐藤産業労働局長
  新銀行東京は、ほかの金融機関と異なりまして、先ほど申し上げましたが、赤字、債務超過先への融資が多いという実態がございます。追加出資以外の方法は、資金繰りに窮する中小企業を救うという本来の目的に反することになると思います。既存融資、保証先一万三千社を初め、その取引先、従業員、家族などの関係者に重大な影響を及ぼしかねない。先ほどるるご説明したとおり、都民に膨大なコスト負担をお願いするということになります。
 一方で、追加出資は、銀行として第一に考えなければならない預金者の保護が可能であるとともに、新銀行東京の資本を手厚くすることによりまして、既存融資先を初めとする中小企業に対する継続支援を行うことを可能とするスキームでございますので、高い事業意欲を持ちながら資金繰りに窮している中小企業の支援を行うことができます。
 このような点にかんがみまして、現在とり得る唯一の方法として追加出資を選択いたしました。

〇川井委員
  事業清算の場合、当面緊急の資金供給として一千億円の費用が必要になる。そして、今の説明では、それが戻るどころか足りなくなることもあるということでありました。
 また、預金保険法に基づく破綻処理の場合は、一万人近い人たちに影響が出る。日本は今までペイオフを経験したことがないわけでありますし、いわば伝家の宝刀なのであります。それが一度抜かれるということになれば、預金者はその厳しい現実を目の当たりにすることになるわけであります。
 ペイオフの場合、預金額一千万円以下の元本と利息は保護されるものの、一千万円を超える部分については保護の対象になりません。銀行の財産整理後の状況いかんによるとはいうものの、先ほどの答弁からいえば、一千万円を超す預金者は九千六百十件で、この方たちが四百七十七億円に上る被害を直接受ける可能性が高いということであります。
 これは大変な額であります。個人の預金者に限っても三百十五億円である。東京都がつくった銀行だということで信頼して預けた方々も多いわけで、ペイオフになれば、老後の蓄えとして当てにしていた高齢者の方々などにとっては、極めて深刻な問題であります。
 また、先ほどの答弁では、新銀行東京の顧客は無担保融資が中心であることや赤字や債務超過先が多いことから、整理回収機構に移管される可能性は極めて高くなると想定されるということですが、整理回収機構に回される事業者にとっては、まさに一大事であります。必死に頑張って返済に努力している企業が、一部の報道にあるような悪質な連中と十把一からげにされてよいのでしょうか。
 不幸にして倒れた人たちや現在返済に苦しんでいる方々の中で不良債権扱いされるだろう人たちを苛斂誅求の場にさらしてよいのでしょうか。
 新銀行東京が支援した企業は一万七千社ありますが、もし新銀行東京がなかったならば、高利の金に手を出さざるを得ず、同じような状況に追いやられた企業も少なくないと想像します。汗をかいて仕事に励み、地道に返済を続けている企業にとっては、新銀行東京はまさに天の助けであったはずであります。  しかるに新銀行東京が、今回仮にペイオフという形の中で破綻処理されたならば、まさに整理回収機構に回されてしまうことによって、今、新銀行東京から融資を受けている多くの企業が同じような道をたどることも容易に想像できるわけであります。したがって、事業清算と預金保険法に基づく破綻処理の二つの選択肢は、非現実的なものとしかいいようがありません。
 こうしたことを考え合わせれば、苦渋の選択をされた知事の胸のうちを推しはかることができると思います。
 しかし、追加出資の四百億円という金額は、都民感覚として非常に重いものであります。追加出資の額がなぜ四百億なのか、金融の専門家でない一般の都民、私たちに理解しやすいように、その根拠と考え方を丁寧にお示しください。

〇佐藤産業労働局長
  新銀行東京の経営状況の悪化によりまして、追加出資がないとしますと、二十年度末には金融機関として健全な経営が行われるために必要な自己資本が不足する状況にあります。
 新銀行東京は、事業計画の抜本的な見直しを行うとともに、銀行業を行う上で最低限必要となる自己資本、それと今後の事業展開をする上で予想されますリスク、これに対する資本を確保する必要があることから、四百億円の追加出資を東京都に要請してきたところでございます。
 銀行の資本につきましては、国際決済銀行、BISの資本に関する規則があり、国内におきましては金融庁の監督指針により定められているところでございます。
 これは、平成十九年三月から新たに導入された規制の部分があり、従来の自己資本比率確保に加えまして、既に行われている貸倒引当金ではカバーできない、いわば将来発生することがあり得る損失について、あらかじめ資本化をしなければならないという規則でございます。
 この新BIS規制に対応するため、自己資本の維持に必要な八十億円、それから将来発生することがあり得るリスクに対するために必要なものが二百八十億円、さらに新規業務や風評等、その他のリスクへの備えといたしまして四十億円、合計四百億円が必要になるとの銀行の判断により、要請がなされたものでございます。
 都としましては、都の負担が他の方法に比べて少額で、中小企業等既存顧客に与える影響が最も少なくて、預金者保護の問題が生じない追加出資が最善の策という、この判断のもとで、再建計画の実現可能性、そして新銀行東京が市場からの信任を得られるための財政基盤の確保、都財政の状況等を総合的に勘案しまして四百億円が妥当と判断したところでございます。

〇川井委員
  追加出資の前提として再建計画が出されたわけでありますが、その中身に入る前に、まず足元の状況を確認したいと思います。
 新銀行東京の平成二十年三月期決算については、まだ事業年度の途中であり、確たることはいえる状況にないと思いますが、現時点における今期の着地見込みを示していただきたい。

〇佐藤産業労働局長
  新銀行東京によれば、平成二十年三月期決算の財務状況は、総資産五千二百八十六億円、融資・保証残高二千三百億円、預金四千七億円、純資産は約百五十億円というふうに見込んでおります。
 また、損益状況は、経常収益百四億円、経常費用二百五十五億円、経常損失百五十一億円、特別損失十七億円、純損失百六十七億円を見込んでおり、これにより累積損失は一千十六億円になる見込みであると聞いております。

〇川井委員
  こうした経営不振状態を克服し、新銀行東京を立て直すために、現在の経営陣はどのような経営努力をしてきたのか、お伺いをいたします。

〇佐藤産業労働局長
  新銀行東京は、昨年六月に刷新された新経営陣のもとで、デフォルト圧縮を最優先といたしました経営改善に取り組んでまいりました。そして、まず顧客の実態把握に注力することといたしまして、顧客の債務者区分の全面的な見直しを実施しますとともに、延滞を防ぐための返済状況の管理など期中管理の徹底を図ってきたところでございます。
 また、店舗を十店舗から六店舗に削減するとともに、ATMにつきましても、店舗外のATMをすべて廃止をし、お客様には新銀行東京のATMと同じ条件でご利用いただける提携金融機関のATMをご活用いただくようにしたところであります。こうしたことによりまして、経費を計画より十二億円削減してまいりました。
 さらに、本年一月からは、新たに抜本的なリストラと事業の重点化に向けた検討を開始いたしまして、二月に再建計画を取りまとめたところでございます。

〇川井委員
  新銀行東京がそれなりの努力をしてきたことは認めますが、お答えのあった今期の着地見込みを出発点として再建計画を進めていくことになるわけであります。計画に示された経営目標は、中小事業者の支援であり、これまでと変わっているわけではありません。これは当然のことであります。
 しかし、新銀行東京では、今まで何回か計画をつくられてきましたが、いずれも未達成であります。今度の再建計画は、そのようなことがあっては決してならないわけであります。目標を確実に達成できるのかを検証する観点から、再建計画のポイントを明らかにしていきたいと思います。
 まず、都として、この再建計画をどのように評価しているのか伺います。

〇佐藤産業労働局長
  新銀行東京の再建計画は、中小企業支援という都の政策目的の実現やビジネスモデルの確実性、収益計画の妥当性等を十分踏まえて策定されたものであるというふうに評価しております。
 すなわち、この計画は、既存の顧客のうち、延滞等が発生していない正常返済先につきましては、可能な限り継続的に支援を行っていくということを前提とした計画でありまして、中小企業支援の継続という都の政策目的が確実に達成されるものと考えております。
 次に、これまでの三年間で蓄積してきました営業ノウハウや反省点を踏まえまして、今までの事業実績の中で着実に収益が見込める事業に重点化をすることとしておりまして、ビジネスモデルの確実性は十分にあります。  また、事業の重点化とあわせて、店舗の集約や人員体制の大幅な見直しを行うなど、徹底した執行体制の見直しを行うこととしており、収益計画の実現性は高いというふうに評価しております。

〇川井委員
  計画の中では、事業の重点化がうたわれています。これまでの実績で、不良債権の増大と並んで、収益確保の低調さ、経費の多さが際立っていました。この計画ではそれらをどのように改善されるのか、道筋を示していただきたいと思います。

〇佐藤産業労働局長
  既存顧客への継続的な支援が中心の一般融資や小口融資では、大きな収益は見込めないものの、成長が期待できるベンチャー企業に対する融資では一定の収益が期待できます。また、これまでの事業実績の中で収益を上げているファンド投資は、今後も着実に収益が期待できます。
 一方、経費につきましては、本部、店舗等の一店舗への集約や、四百五十人体制から百二十人体制への人員体制の大幅な見直しなど、徹底した執行体制の見直しにより削減することとしております。
 こうした取り組みを着実に進めることで、経営再建を確たるものとしていくところでございます。

〇川井委員
  経費の削減が経営改善に向けた大きな要素であることは理解できます。六店舗を一店舗に集約し、人員も四百五十人から百二十人へと四分の一に削減するなど、事業の縮小を目指しており、そうした体制で中小企業支援という目的を果たしていけるのかという声もありますが、店舗については、都と連携して、例えば東京都中小企業振興公社、秋葉原、蒲田、葛飾、立川に四カ所、これに東京ビッグサイトを加えて五カ所の拠点をつくることにより、今までと変わらない体制に近づけること、また、従業員については、現在の四百五十人のうち二百人が派遣スタッフであり、今後は、派遣スタッフで大量処理する体制から社員みずから事務処理をするように変えていくと聞いております。
 ここで、確認の意味を含めて、今回の再建計画が資金繰りに窮している中小企業を切り捨てるものではないということを明らかにしていただきたい。

〇佐藤産業労働局長
  再建計画はあくまで資金繰りに窮する中小企業への支援継続が目的でございます。既存顧客一万三千社のうち、大企業、それから破綻先、延滞している先などを除きました九千を超える融資、保証先は引き続き支援をしてまいります。
 加えて、ファンドを通じたベンチャー企業への出資や、中小企業振興公社など都の機関と連携した、従来よりも充実した中小企業支援を行ってまいります。
 審査能力の高い、目ききができる人材を選抜し、審査及び営業フロントに配置するとともに、今まで以上に社内研修等で間違いのない営業ができるような人材の教育について努力を行ってまいります。
 これらの取り組みによりまして、経営目標である中小事業者支援を実現してまいります。

〇川井委員
  また、都との連携という点では、公共工事代金に関係して、一歩進んだ新たな商品も提案されています。公共工事については、工事代金の四割が前払い分として支払われますが、残る六割は、工事が完成し、検査を受けるまで支払われません。工事の完成までには半年かかる場合もあれば、一年かかる場合もあります。その間は事業者が立てかえるわけです。その六割の立てかえ部分の資金を新銀行が事業者に供給するという商品でありました。銀行にしてみれば、検査が終われば東京都から自動的に間違いのないお金が、そして利益も確保されるという有力な商品であります。
 さて、ここで、新銀行東京から実際に融資を受けた私の知り合いの話をさせていただきます。
 一件目は、従業員十八名の物流・倉庫業を営んでいる方であります。この会社は、一時的に売り上げが減少し、取引先金融機関の既存融資を条件変更した際に、この金融機関から、減産目的の新規融資は応じないということをいわれたそうです。そのような状況の中で、新銀行東京が大変スピーディーに融資対応をしたため窮地を乗り切れた、こういっております。この社長さんは、新銀行東京の無担保融資に大変感謝をしている、その後、自分は知り合いの会社を何社か新銀行に紹介したんだ、こういうお話でありました。
 二件目は、従業員が三十一名の杉並区で建設業を営む方であります。新銀行が設立された直後の時期に指名停止になり、受注がなく、資金繰りができなくなってしまった。当時も建設業は不況業種ということで、都市銀行を初め、信金、信組も相手にしてくれない。そんなときに、わらをもつかむ思いで新銀行に三千万の融資をお願いしたところ、融資を理解していただいた。何とか従業員や取引先に迷惑をかけず事業の継続ができ、現在は完済することができた、大いに助けられたということでした。
 その後、昨年の夏、完済した実績があるのだからと、五千万の融資をお願いしたところ、融資を受けられないというので、理由を聞いたところ、チェック項目がふえた、一項目でもひっかかればだめですといわれた。こういう不満をいいながら、昨年の六月以降の新経営陣のチェック機能が働いていることまで証明をしてくれました。
 こうした声を聞くにつれ、経済活動の血液ともいうべき金融の重要性を感じるわけであります。  それでは、実際に新銀行の融資や保証によって、貸し渋り、貸しはがしに苦しむどれだけの事業者が救われているのでしょうか。特に赤字や債務超過の企業は、金融機関から融資を受けることが難しいといわれていますが、現在、新銀行東京の融資先で赤字や債務超過に陥っている企業はどのくらいあるのか、また、そこで働いている従業員はどのくらいいるのか、それぞれお示しいただきたい。

〇佐藤産業労働局長
  平成十九年十二月末現在におきます新銀行東京の中小企業の融資、保証先は一万三千社ございます。そのうち五千六百三十五社、割合にして四三%が赤字・債務超過企業でございます。これらの企業は、新銀行の融資が断たれた場合には、他の金融機関から融資を受けられない可能性が高いというふうに思われます。
 また、新銀行東京の取引先中小企業の平均就業者数は一社当たり十四・七人であり、五千六百三十五社全体では約八万三千人と推計をされます。

〇川井委員
  融資を受けられなければ、八万三千人の人たちが路頭に迷うことになったかもしれないのですね。融資の実行は、単に融資先の中小企業の資金がつながるということにとどまらず、従業員や家族にも影響が及びます。八万三千人の方々がそれぞれ雇用者の平均世帯人員二・三人を有しているとするならば、家族の数は十九万人にも上ります。これだけ多くの方々が救われているわけです。
 また、従業員や家族だけではなく、融資先の企業が生き残ることによって、その取引先も助かるわけであります。
 先ほどの預金保険法に基づく破綻処理の場合には、影響を受けるという点からいえば、ペイオフの対象になる一万人とその家族も含まれますから、その影響は大きいものがあります。
 また、現在、新銀行東京は、信用金庫との連携の一つとして、新保証という制度を行っています。これは、信用金庫が中小企業者に融資を行う場合には、融資額の八割を新銀行東京が保証するというスキームであります。今年度九月末の残高は六百三十七億円ですから、新銀行東京の経営がもし立ちいかなくなれば、これらの信用金庫にとっても大きな痛手となり、金融不安につながりかねないわけであります。
 新銀行東京の再建については、金融関係者も、当時の金融情勢の中で、地域金融機関自体も不良債権処理に追われ、大変厳しく、中小零細企業への資金の供給は十分とはいえない状況にあった。そういう中で、新銀行東京が新保証を創設するなどにより、当時の中小金融機関も大いに助けられた。もし新銀行がつぶされるようなことがあれば、その影響は大きく、利用している中小企業や預金者に大きな不安を引き起こし、社会的にも大きな混乱をもたらすことは火を見るより明らかである。ぜひ新銀行をつぶさずに、今後とも地域金融機関や信用保証協会などと協力連携しながら、都内の中小企業への金融支援を続けてもらいたいと語っていました。このように、金融機関の関係者も、新銀行について一定の評価をしております。  したがって、今回、東京都が新銀行へ追加支援し、再建を促すことは、意欲のある中小企業を支え、東京の産業力を強化していくためにも必要なものだと考えます。
 さて、冒頭で、新銀行東京の設立当時の社会経済状況についてのやりとりをしました。現在の状況を見ると、設立当時と理由こそ異なりますが、サブプライムローン問題による各行への影響が深刻化し、最近の金融市場は混乱を続けている状況であります。こうした背景のもと、再び金融機関の貸出姿勢が消極化していると聞いております。また、戦後最長といわれる景気回復の動きも、町場中小企業にはなかなか及んでいないというのが実感であります。
 そこで、中小企業をめぐる現状を具体的な数字を用いて示していただきたいと思います。

〇佐藤産業労働局長
  サブプライムローン問題に端を発しますアメリカ経済の減速や原油価格の高騰、また住宅着工のおくれなどを背景にいたしまして、日本経済も減速感を強めつつあり、中小零細企業におきましては、昨年一年間で倒産件数が前年より六・三%増大をしております。
 住宅着工戸数も、昨年十二月の都内住宅着工戸数の減少率は、前年同月比四三・三%減と、全国平均の一九・二%減を大きく上回っております。
 原油高などによる影響も深刻でありまして、昨年十一月に中小企業庁が実施をいたしました調査では、原油価格の上昇により収益を圧迫されている企業が九割を超え、価格上昇を販売価格に転嫁できないとする企業が六割に達しております。  財務省の法人企業統計によりますれば、資本金一億円以上の大企業がバブル期を超えて過去最高の経常利益を更新しているという現状に対しまして、資本金一千万円以上一億円未満の企業は、経常利益ですけれども、バブル期の半分にも達していない、これが現状でございます。
 都が先月行いました都内中小企業の景況調査では、業況がよいとした企業の割合から悪いとした企業の割合を差し引いた割合が、二年十一カ月ぶりにマイナス四〇になるとともに、当月と比べた今後三カ月間の業況の見通しも大幅に悪化をしております。

〇川井委員
  現在のような金融情勢の中でこそ、あるいは新銀行東京がもう一度本来の役割を果たせるのではないかと考えるわけであります。
 振り返ってみますと、新銀行東京の構想当時、金融機関による貸し渋りや貸しはがしが続いたため、東京の中小企業は厳しい資金繰りを余儀なくされていました。そうした状況の中で新銀行東京が設立され、今日まで相応の役割を担ってきたわけであります。
 今日の質疑で、この銀行の存続意義、再建計画の重要なポイントについて丁寧な答弁を受けました。再建に向けて新銀行東京が歩む道は、容易ならざるもの、険しいイバラの道であることが想像できます。しかし、容易でなくとも、相当な覚悟を持って、しかも万難を排して再建をやり抜かなければ大変な事態になるということも、また今の質疑で明らかにされたわけであります。
 この銀行の再建のために、いろいろな手段、方法を考え、都民や中小企業に役立つ銀行を目指しているという説明をいただきました。しかし、再建のためには、かつて我々が主張したように、千にも上る支店や窓口を持つ信用金庫との連携が不可欠であろうかと思います。家庭や企業の中まで入り込み、お客様の家族構成や、何をどのようにつくり、営業しているのかという企業の実態を把握しているという、彼らが長年培ってきた情報力や営業力を大いに学び、利用させていただきながら、共存共栄を図り、ともに中小企業のニーズにこたえる金融機関としての地位を得ていただきたいと思います。  また、信用保証協会との連携を利用させていただくことも、今後の商品づくりの上に欠かせないと思っております。そして、新銀行東京は、今回の支援がみずからを再生するに値するものであることを、みずから証明していかなければなりません。東京都は、単なる支援ではなく、今後は経営に参画するような思いを持って、あらゆる力をもって協力し、今回の支援策が都民や新銀行東京の利用者にとって最もよい判断であったということを、多くの都民に示すことができるようにしなければなりません。そうして、この銀行の再建をともにかち取らなければならないと思うわけであります。
 昨年の知事選において、知事は公約の柱を再起動としたわけでありますが、期待外れであった新銀行東京の旧経営陣による人事を昨年の六月に一新したわけであります。そして、その努力が始まったところであります。今こそ都民に理解をしていただき、都民や東京の中小企業に役立つ金融機関にすることこそが、まさに東京再起動といってよいと思うわけであります。再建に向けての知事の決意を改めてお聞かせ願いたいと思います。

〇石原知事
  ご質問の中のご指摘の事例や、局長からの数字を挙げての説明を聞きましても、私は、基本的には、この銀行の設立した意義はあったと思いますし、その志は間違っていなかったと思います。
 しかし、それでもなお、四百億円の追加出資は、私としても非常に重い苦渋の判断でありました。
 過去も今も中小企業の資金繰りは大変苦しいし、厳しゅうございます。この中小企業を支えていくために、より多くの施策、手段を用意することは、東京と日本の今後の発展のためにも必要不可欠だと思っております。そう信じております。  新銀行東京の行き詰まりは、数多くの中小企業の行き詰まりを意味すると思います。ゆえにも、新銀行東京を何としてでも再建しなければならない。これは、伏してでも、都議会の皆様、都民の皆様にご理解とご協力をお願いしたいと思います。  再建に当たりましては、新銀行東京の血のにじむような努力が前提でありますが、都としてもとり得るすべての手段を講じていくつもりでございまして、渾身の力を振り絞って、不退転の決意で、この銀行を何とかとにかく再建させていただきたいと思っております。
 しかし、やはり旧経営陣、殊さら非難をするつもりはございませんが、聞く耳を持たぬ唯我独尊という、そういう姿勢では、私はやはりだめだと思いますし、信用組合というものの活用をどうしてもうちょっと積極的に考えなかったのかと私も思いますし、それからまた、この一年、私も素人ですけれども、このピンチを目にして勉強しましたが、むしろ東京の可能性などについては、外国のファンドの連中のほうが、ハゲタカか何か知りませんけれども、非常に目ざとくいろんな可能性を心得ているようでありまして、そういった知恵といいましょうか、ノウハウも活用すれば、私は、東京という非常に大きなポテンシャルを持っている大都市が背景になった中小企業政策というのは必ず成功すると思いますし、現にまた、社債担保証券、ローン担保証券も効果を上げてきたわけですから、私は、銀行もまた経営さえしっかりすれば必ず大きな成果を上げると思って、中小企業のために役に立つと思っております。そのつもりで頑張ります。

〇川井委員
  実は今、知事の方から信金等の話が出ました。先ほども私は触れておりますけれども、私どもの内田顧問の方からも、当時、実は全国信金中央のトップの方々にお会いさせていただいて、場合によっては競争相手になるけれども、この信金中央東京版、これを何とか理解いただきたい、こういう話などもさせていただいて、ある一定の理解をいただいておりました。だからこそ、私どもの会派は、信金中央の東京版ということの提案も当時させていただいたわけであります。  同時に、その信用金庫が持っている千にも上るこの支店、それぞれの窓口、そして営業に対するノウハウ、こういうものをぜひ使ってみたらどうだろうか。そして、信金の方々に対しても、我々会派としての働きかけをさせていただき、その門戸を開いていただいた。
 しかるに、当時の経営陣がこういうことを全く無視した。それらについては、まさに私どももざんきにたえないというか、苦虫をかみしめるような実は思いであるわけでありまして、こういうものを、できれば今後しっかりと大きな反省材料としていただいて、銀行側と、そして東京都と、今後、東京都民から、そして多くの中小企業から支持をいただけるような、そういう銀行をつくり上げていただきたいと思うわけであります。
 実は、私は先ほど、時間がなくなるかなと思って、ちょっと飛ばしたところがあるわけでございますけれども、整理回収機構に回された一つの実例。実は私も一緒に体験をしたのでございますが、当時、バブルの崩壊後、大手銀行を含めて大量な不良債権を抱えて、ご存じのとおり、国の方が大きな出資を当時させていただいて、株を買うというような形の中で対応させていただいた。
 しかしながら、この多くが今回と同じように債務超過等々、あるいは赤字。こういうところはほとんど回収機構に回されたわけであります。この回収機構に回された、私の知っているある例は、まさに私も一緒に動かせてもらったんですが、その氷山の一角として、一山幾らでぼおんと売られてしまった。  そして、何度か整理回収機構と交渉させていただいたんですが、その一部はまさに一山幾らでアメリカ企業に売られておりました。そして、やっとそこにたどり着いて、今度は、そこからアジア系の企業に売られていた。そこからの取り立てはすさまじいものでありました。まさにハゲタカ、ハイエナ、こういう感がしました。
 家族、そして親戚縁者までが生きた心地がしない、精神的に追い詰められた状態になり、家族そろって自殺まで考えざるを得ない、こういう状態に至ったということを、その方からも聞きましたし、私自身もその方と一緒に行動した時期がありまして、まさに忍びないというか、本当に苦しい思いをさせてしまったことがあるわけでございます。
 今、新銀行東京の顧客を再びこういうような、この人と同じような状況にさせては決してならないと思っておりますので、ぜひお考えをしっかりと持っていただきたい、こう思うわけであります。
 我々も、議会側の責任の一端を担うべく、行政とともに新銀行東京の再建に向けて協力をしていかなければならないと思っております。
 本日の質疑によって、三つの選択肢以外にも努力をしてきたが、最終的に選択肢は三つに限られたこと、その中で都民の実害が最も少ないものを選んだ結果が今日の追加出資であること、そして、新しい新銀行東京が確実に都民の役に立てる銀行としての経営を歩んでいけるかについての確認をさせていただきました。  この議論によって、今回の追加出資の意味合いを多くの都民の方々に理解していただけたと思っております。そして、今回の苦渋の決断が必要な決断だったということを申し上げ、私の関連質問とするわけでございますが、私ども会派の新銀行東京の質問のまとめについては、私どもの締めくくりで改めて行うつもりでおりますので、よろしくお願いをいたします。  これをもちまして、私の質問を終了させていただきます。(拍手)

〇三宅委員長
  髙橋かずみ理事及び川井しげお副委員長の発言は終わりました。
 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。

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