2008.03.17 平成20年環境・建設委員会 本文
〇髙橋かずみ委員

 私から、最初に感染性廃棄物対策についてお尋ねいたします。
  医療機関から排出される注射針などの感染性廃棄物は、たとえ量が少なくても、不法投棄等の不適正処理が行われると、人や環境に与える影響が大きいといえます。感染性廃棄物の処理については、一昨年の府中市での不法投棄事件に続き、昨年には、他県で百トン以上もの感染性廃棄物が未処理のまま放置される事件が報道されるなど、不法投棄事件が今も後を絶ちません。
  私は、ここ数年、ICタグの先進性に注目してきたところでありますが、平成十八年十一月二日の当委員会で指摘して以来、何度かにわたって、感染性廃棄物の不法投棄防止のためには、医療機関の排出事業者としての意識の向上を図るとともに、ICタグを活用し、病院から排出される感染性廃棄物の容器ごとに、排出から処分に至るまで、確実に追跡管理するシステムの導入が有効であると一貫して主張してきました。
  そこで、お伺いいたします。都は、都民生活の安全・安心を確保するために、ICタグを活用した追跡管理システムの開発に当たって支援を行った経緯がありますが、まず、現在の都内の医療機関におけるこのシステムの普及状況をお聞かせください。

〇森廃棄物対策部長

 感染性廃棄物を適正に処理することは、人の健康を守るため、大変重要でございます。都は、感染性廃棄物の不法投棄を防止するため、ICタグによる追跡管理システムの普及を図ってまいりました。診療所につきましては導入が進んでおりますが、病院につきましては、診療所に比べて大量の感染性廃棄物が排出されるため、ICタグに係る経費負担が大きく、約六百ある病院のうち、現在のところ、七病院にとどまっております。

〇髙橋かずみ委員

 病院の負担が大きいとのことでありますが、ベッド数五百床規模の病院になると、年間二万箱の感染性廃棄物を排出すると仄聞しております。これにICタグによる追跡管理システムを導入すると、廃棄物処理費に加えて、年間百五十万円程度かかることになると聞いております。これは、病院経営が厳しい中では、決して少なくない負担であります。今後このシステムをさらに普及させていくためには、ICタグの単価を下げ、病院側の経費負担の軽減を図ることが必要であります。
  都は、平成二十年度予算案で、ICタグを活用した感染性廃棄物適正処理推進事業として、都内の病院を対象とした補助金一億円を計上しています。この補助金は、ICタグ単価の引き下げをねらったものであると聞いておりますが、どのように病院の負担を軽減させていくのか、伺います。

〇森廃棄物対策部長

 多くの病院がシステムを導入することによりまして、ICタグの使用量が格段に増加し、その結果、ICタグ単価が下がって、ICタグに係る病院の負担を約半分程度に低減させることができます。このため、都内の全病院を対象とし、ICタグに係る費用の一部を補助し、利用病院を一挙に拡大することを目指しております。
  あわせて、このシステムの導入によりまして、マニフェスト伝票による産業廃棄物の管理が電子化され、事務処理が大幅に省力化、効率化されまして、この面でも病院の負担が軽減されることとなります。
  都は、東京都医師会や東京都病院協会などの関係団体と連携して、このような病院側のメリットをPRし、ICタグに係る追跡管理システムの一層の普及拡大を図ってまいります。

〇髙橋かずみ委員

 感染性廃棄物の適正処理を進めるためには、この事業は大変重要であります。ぜひ、速やかな対応を望みたいと思います。
  感染性廃棄物の追跡管理システムを導入した病院は、適正処理に積極的に取り組むすぐれた病院であります。廃棄物処理に対する排出事業者の責任が問われる中、このような病院名を都民に公開していくことは、病院の取り組み姿勢を社会が評価することになり、まだ導入していない病院が追跡管理システムを導入する動機づけにも大きく貢献すると考えます。
  追跡管理システムを導入し、日々大量に排出される危険な感染性廃棄物の適正処理に尽力している病院を都民に広く公表し、周知していくべきと考えますが、都の見解を伺います。

〇森廃棄物対策部長

 都は、毎年、病院や大規模事業所から廃棄物を適正に処理するための取り組み状況などについて報告を受け、都のホームページで公表する報告・公表制度を設けてございます。今後は、この報告・公表制度を改善いたしまして、このICタグ追跡管理システムを導入している病院を、わかりやすい形で積極的に都民に公表してまいります。都は、このことによりまして、先進的な取り組みを行う病院の社会的評価を高め、追跡管理システムの利用が拡大されるよう誘導してまいります。

〇髙橋かずみ委員

 感染性廃棄物の不適正処理を未然に防止し、都民生活の安全と安心を確保することは、高齢者医療や高度医療がふえている現代にあって、極めて重要なことであります。今後とも、東京都が先進的な感染性廃棄物対策を推進していくよう強く要望いたしまして、次の質問に移ります。
  先ほど説明がありましたように、先月末に、東京都環境審議会から環境基本計画の改定について答申が出されました。現在の環境基本計画が策定されて既に六年が経過し、その間、大きく顕在してきた地球温暖化に代表される課題へ積極的に取り組むため、都は、答申をもとに、近々、計画策定を行うとのことでありますが、環境政策の軸ともいうべき環境基本計画を改定し、今後どのように展開していく考えなのかを、まず環境局長にお尋ねいたします。

〇吉川環境局長

 東京の環境を取り巻く現状を見てみますと、今、高橋委員もおっしゃられたように、地球温暖化がもたらします異常気象などの危険な気候変動が顕在化してきているほか、残念ながら、二酸化窒素、光化学オキシダントなどの大気汚染や土壌汚染などの負の遺産がいまだ残されているとともに、緑の減少に歯どめがかかっていないなど、都民の生命、財産、健康に直接的な影響を与える環境危機が依然として存在をしております。
  都は、既に「十年後の東京」で、世界で最も環境負荷の少ない先進的な環境都市を実現するなどを明らかにしておりますが、今回の基本計画においては、これら地球温暖化に代表されます環境危機に対して果敢に挑み、奇跡の星、地球の環境を次世代に残すとともに、クリーンで緑あふれる東京を実現するため、目指すべき都市像に向けた個別の分野ごとの現状や、あるべき姿、目標、施策の方向を明らかにいたしまして、全庁横断的な組織も活用しながら、区市町村などの行う主体的な取り組みとも連携を強め、先進的で骨太な環境施策に着実に取り組んでいきたいと考えております。

〇髙橋かずみ委員

 局長の決意はよくわかりました。ぜひ頑張っていただきたいと思います。
  それでは続けて、この答申の中の、特に温暖化対策について幾つかお伺いいたします。
  先週の予算特別委員会では、私から、都が温暖化対策を推進する上での産業、業務、家庭、運輸の各部門別の削減目標について質疑を行いました。この部門別目標については、答申の中でも、例えば、産業、業務部門全体では一〇%程度の排出量を削減することを目指すべきと記されており、部門ごとの二酸化炭素排出量の上限を示したように受けとめられますが、一方で答申では、社会的、経済的諸条件の変化や施策の具体化などを踏まえ、必要に応じ、目標の精緻化や適切な見直しを行っていくことが必要ともされております。
  私は、予特の質問で、この部門別目標の検討に当たって、これからの東京における業務床の増などの、東京の発展、都市の活力維持の証左ともいえる要素が考慮されていることを確認させていただきました。今後、東京がダイナミックに発展していくことに伴う社会経済情勢の変化に対し柔軟に対応していくためにも、部門別目標は、これ以上の排出が一切認められない絶対的な水準を定めたものというよりは、都民、事業者など東京を構成するすべての主体が、ともに目指すべき削減レベルについて共通の理解を得ることができるように掲げられたものと理解すべきであり、今後、施策の構築や効果の測定をする上での目安という位置づけにすべきと考えますが、見解を伺います。

〇長谷川環境政策担当部長

 都は、二〇二〇年までに二〇〇〇年比で二五%の温暖化ガスを削減していくという目標を示してございますけれども、この実現のためには、産業、業務、家庭、運輸の各部門の特性を踏まえた削減目標を設定し、施策を推進することが必要と認識しております。
  部門別目標につきましては、こうした観点を踏まえまして、さまざまな状況変化もあり得る中でも、都民や事業者などが主体的に目指すべき削減の目標でございまして、お話のように、今後、施策を構築し、効果の検証を行うに当たっての一つのよりどころとして位置づけていきたいと考えております。

〇髙橋かずみ委員

 次に、これも予算特別委員会でのやりとりに関連して伺います。
  先週の質疑の中で、吉川環境局長は、カーボンマイナス東京十年プロジェクトにより施策化した事業で試算が可能な取り組みについて見積もった場合、二〇二〇年までの削減量は、目標達成に必要な量のおおむね五割弱となる見込みと答弁されました。
  この局長答弁の意味は、今後十年間にわたって、今回施策化された取り組みをほぼ同じ内容で継続して実施した場合に、推計して得られるものととらえてよろしいのでしょうか、確認いたします。

〇長谷川環境政策担当部長

 予算特別委員会におきまして、高橋委員のご質問に対して、今回のプロジェクトによる取り組みを二〇二〇年まで続けた場合に、目標達成に必要な量のおおむね五割弱の削減量となる見込みとした根拠でございます。例えば、太陽エネルギーの飛躍的な拡大の場合、二〇一六年までに百万キロワットを創出するという目標がございまして、これを踏まえまして、そのために必要な世帯数を推計して、CO2の削減量を見積もったものでございます。
  今回のプロジェクトの各施策は、今後、具体的な内容を詰めていくものもございまして、また、取り組みを二〇二〇年まで漫然と進めるだけでは、おおむね五割弱を達成することは困難でございますので、残りの五割の達成のためのさらなる施策構築とあわせ、プロジェクトの施策の推進に着実に取り組んでいくことが必要であると考えてございます。

〇髙橋かずみ委員

 今回、都は、CO2削減策のメニューをそろえましたが、CO2削減を実現していくためには、これらの施策をいかに実施していくかにかかっていることがよくわかりました。
  答申でも、第五章として、計画の推進と見直しという項目が立てられ、数値目標を掲げている事項を中心に、その進捗状況を把握し、適切な進行管理を行っていくべきとありますが、今後、温暖化対策を具体的にどのような形で進行管理していくのか、見解を伺います。

〇長谷川環境政策担当部長

 今回、カーボンマイナス東京十年プロジェクトで施策化いたしました取り組みにつきましては、ほぼ「十年後の東京」への実行プログラム二〇〇八に盛り込まれてございます。この実行プログラムにつきましては、計画のPDCAサイクルを強化し、検証の仕組みを充実して、今後、毎年度、アクションプランをローリングしていくこととされておりまして、カーボンマイナス東京十年プロジェクトにつきましても、副知事を本部長とするカーボンマイナス都市づくり推進本部におきまして全庁的な進行管理を図り、新たな対策も含めてプロジェクトをローリングすることによりまして、都民や事業者の方々のさらなる参加を得ながら、目標達成に向けた取り組みを加速してまいります。

〇髙橋かずみ委員

 新たな取り組みを展開していくとともに、施策の効果、検証をしっかりと行っていくことが重要であります。都民が真に求める施策となるよう、常に工夫されることを要望して、環境基本計画についての質問を終わります。
  次に、東京オリンピック招致と環境のかかわりについてお尋ねいたします。
  東京オリンピック招致委員会は、本年一月に、国際オリンピック委員会、IOCに二〇一六年東京オリンピックの開催計画を示した申請ファイルを提出いたしました。二〇一六年東京オリンピックでは、前回の一九六四年の東京オリンピックの際にも使用されたような既存の競技施設を最大限活用する計画となっていたり、また、ほとんどの競技施設が八キロメートル圏内に配置されるなど、環境負荷をできるだけ抑えた、環境を最優先にした大会を目指していくとのことであります。
  皆さんご承知のように、この夏に開催される北京オリンピックについては、大気汚染を初めとしたさまざまな環境の悪い面が報道されております。先週の報道番組で、エチオピアの金メダルも期待できる男子マラソン選手が、しかも、世界記録を持っている選手とのことでありますが、北京の大気汚染を理由に出場しないとの報道もありました。
  こうした世界じゅうから環境で注目をされる北京オリンピックの直後の東京オリンピックの招致活動においては、これまでの東京の環境対策や世界に誇る環境技術を、IOC委員を初め、広く関係の方々に理解していただくことが必要だと思いますが、所見を伺います。

〇長谷川環境政策担当部長

 二〇一六年東京オリンピック招致を視野に策定いたしました「十年後の東京」において掲げた、世界で最も環境負荷の少ない都市の実現という近未来像を着実に実現することを目指しまして、気候変動の危機克服などに向けた取り組みを東京都として進めてまいりました。
  また、東京はこれまでも、都市の成長過程におきまして、大気汚染を初めとした幾多の環境問題に直面してまいりましたけれども、その都度、都民の方々や事業者の皆さんの協力を得ながら、これを克服してまいりました。これまでの東京の環境危機の克服に向けた取り組みに加えまして、二〇一六年東京オリンピックにおきましては、世界に誇る日本のすぐれた環境技術を最大限に発揮し、省エネルギーや再生可能エネルギーの利用を進めることとしており、こうした都の積極的な取り組みを世界に向けて広く発信することで、世界で最も環境負荷の少ない都市という都市像の実現と、オリンピック招致の実現に寄与してまいりたいというふうに考えてございます。

〇髙橋かずみ委員

 洞爺湖サミットの開催、ポスト京都議定書の議論など、世界じゅうから日本に対し熱い視線が注がれる中で、環境問題で日本が明確なリーダーシップを示すことができるなら、東京オリンピック招致活動への側面支援が期待できるし、日本の環境への姿勢も高く評価されるものであります。
  しかし、残念ながら現時点での政府の対応は、必ずしも世界から高い評価を受けてはいません。そうであるならば、都みずからが、東京が持つ環境問題克服への強い意志や高い技術を、力強く世界に示していただくことを期待してまいりたいと思います。
  最後に、中小企業が取り組む省エネ対策の推進について一言申し上げます。
  さきの本会議で我が党が質問したように、中小企業の取り組みに対する支援の充実強化は、温暖化防止をなし遂げる上でも非常に重要なテーマであります。都は、中小企業制度融資におけるCO2削減支援メニューの充実などを施策化しましたが、都内に約七十万ある中小事業者での対策を加速するためには、今後、さらに環境金融を充実していくことが求められます。
  例えば、新銀行東京では、中小企業が環境に配慮した行動をとった場合に、金利を最大で〇・五%優遇する環境・CSR応援団という環境金融商品を開発しました。これにより、融資を受けられた企業の環境対策が進んだと聞いております。省エネ設備導入に必要な費用が調達できずに対策が進まない中小企業には、経済的なインセンティブを付与していくことが重要であります。
  知事は、かねてから新銀行東京の経営改善に関連して都の施策との連携ということを述べられていますが、こうした観点も含め、都は、今後、関係局と連携して、民間金融機関にも働きかけを行い、環境金融を充実していかれるよう強く要望いたしまして、私からの質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

赤線
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